清水希茂社長(左)から島根原発2号機の再稼働に向けた事前了解を求められる丸山達也知事=松江市殿町、島根県庁
清水希茂社長(左)から島根原発2号機の再稼働に向けた事前了解を求められる丸山達也知事=松江市殿町、島根県庁
清水希茂社長(左)から島根原発2号機の再稼働に向けた事前了解を求められる丸山達也知事=松江市殿町、島根県庁

 中国電力島根原発2号機が15日、新規制基準に基づく原子力規制委員会の審査に正式合格し、焦点は再稼働の是非を巡る地元同意の手続きに移った。事故に備えた避難計画に解決すべき課題が山積する中、関係自治体の首長は中電や政府に詳細な説明を求め、住民は賛否それぞれの立場で意見した。

 島根原発2号機の再稼働に向けた焦点が地元の同意手続きに移る中、鍵を握る立地自治体の島根県の丸山達也知事と松江市の上定昭仁市長は15日、中電や政府に判断のポイントとなる安全性や必要性、避難対策の説明を要求した。一方、事前了解の権限を持たない鳥取県や出雲、米子両市など周辺自治体は、中電に対して権限を盛り込んだ安全協定の改定をあらためて求めた。

 15日夕、松江市の島根県庁と広島市の中電本社をリモートで結んだ会議で、中電の清水希茂社長から再稼働への事前了解を求められた丸山知事は「安全対策や再稼働の必要性について分かりやすく丁寧な説明が必要だ」と返した。

 さらに政府を代表した梶山弘志経済産業相から電話で再稼働への理解を求められた知事は、避難対策を含めた説明を求めた。

 同じように要請を受けた上定市長は、原子力規制委員会の審査をクリアした中電に対して一定の評価をした上で、不祥事を繰り返す社の安全文化を醸成し信頼回復に努めるよう、くぎを刺した。

 島根県は、16日に合格を報告する県議会のほか、地元住民らが入る原子力発電所周辺環境安全対策協議会(安対協)、専門家の原子力安全顧問会議、原発から30キロ圏内にある出雲、安来、雲南、米子、境港の5市と鳥取県から意見を聞き、判断する。

 松江市は市議や一般市民らの安対協の議論を踏まえ、対応する。

 事前了解の権限を持つ立地自治体に対し、鳥取県など周辺自治体は、立地自治体並みの安全協定改定へ攻勢を強める。

 「(中電の)対応がなければ、再稼働の可否判断に影響しうる」との立場を示す鳥取県の平井伸治知事は15日、膠着(こうちゃく)した状況を打破するため、中電に対し、県や米子、境港両市との協議会再開を認めさせた。

 平井知事は「立地自治体と同様に稼働の判断にわれわれも参画できることを明文化してほしい」と求めたのに対し、芦谷茂副社長は「要望の趣旨を踏まえて当社の考え方を丁寧に説明し、議論したい」と従来の態度は変わらず、双方の間の溝が埋まるかどうかはなお不透明だ。

 米子市の伊木隆司市長は「(中電と交わした)安全協定の運用について、立地自治体と同等の扱いをするという回答を2013年度にもらっている。そのラインから下がることはあり得ない」と強調。一歩も引く構えはない。

 島根側の出雲、安来、雲南の3市長も14日に引き続き中電に求めていく考えで一致している。

 事故を起こした福島第1原発や島根原発と同じ「沸騰水型」の東北電力女川原発(宮城県)は地元同意までに要した期間が約8カ月半だった。島根原発は「県都の原発」として30キロ圏内で関わる人口が多い上、県境もまたがる複雑な事情があるだけに、丸山知事が期限を区切らないと言うまでもなく、議論の先行きは見通せない。