行動制限緩和の実証実験内容
行動制限緩和の実証実験内容

 新型コロナウイルスのワクチン接種進展に伴う行動制限緩和を巡り、政府が10月に広域で実証実験を行うことが16日、分かった。会場は数百店規模の飲食店や10カ所程度の小規模なコンサートホールを想定。首都圏の1都3県や大阪府、福岡県などが実験場所の候補に挙がっている。11月を見込む本格的な制限緩和を前に、感染拡大防止と経済活動の両立を模索する動きが始まる。

 政府は13日、参加する都道府県の募集を始めた。17日に締め切り、緊急事態宣言を発令中の19都道府県と、まん延防止等重点措置の8県を中心に実験場所を選ぶ。緊急事態宣言の対象になっている埼玉県、大阪府、福岡県は既に参加の意向を表明。新型コロナで地域経済が大打撃を受ける自治体の関心は高く、政府は10を超える都道府県で実験する可能性があるとみている。ただ専門家の間では拙速な制限緩和を危ぶむ声が消えていない。

 政府は行動制限緩和の際に、ワクチンを2回接種済みであるか、検査陰性のいずれかを示す証明書があれば緩和の対象とする「ワクチン・検査パッケージ」という仕組みを活用する。

 実験でもこのパッケージを用いる。十分な感染対策を取っている第三者認証を受けた飲食店を会場とし、営業時間延長や酒類提供を認め、客の証明書をスタッフが店頭で確実にチェックできるかどうかなどを検証する。

 コンサートホールでは定員に対する収容率を引き上げ、入り口での証明書のチェック態勢を確認する。飲食店、ホールとも、実験の期間はそれぞれの会場で1週間程度とし、どの程度緩和するかは参加する自治体と国が相談して決める。

 これとは別に、数万人の観客が入るスポーツなどの大規模イベントでの実験も検討している。

 政府は9日、希望者のワクチン接種が終わる11月ごろに行動制限を緩和すると決定した。飲食店の酒類提供のほか、緊急事態宣言下でも都道府県をまたぐ旅行や大規模イベントの開催を認める。