終刊を予定を伝える図書新聞のウエブ版
終刊を予定を伝える図書新聞のウエブ版

 地域から書店が姿を消すようになって久しい。独立系書店の頑張りはあるものの、15世紀にドイツのグーテンベルクが活版印刷術を発明してから700年近く続いた伝統の根幹が揺らいでいることを、肌で感じている。

 もう一つ、活字文化の危機を思わせる出来事がある。77年続いた週刊の書評紙「図書新聞」が来月末で終刊する。素人目にはリベラルの色合いが強いが、1960年代から70年代にかけては三島由紀夫ら戦後派作家の特集を組むなど、時代を象徴する表現者の著作を取り上げてきた。

 黒と赤の2色刷りで、1面トップの赤色の見出しは刺激的だった。取り上げる分野は政治思想や演劇など幅広く、国際関係、宗教や探検ものに関心を寄せていた当方も一時、定期購読するなどお世話になった。

 ウェブ上で公表された「終刊のお知らせ」を読むと、経営は厳しく、活字文化全盛の70年代でさえ、資金難による断絶を経験している。しかし、編集部が目指す<著(あら)わす人、読む人、届ける人、広める人が相集い、互いに言いたいことを論じ、論じたいことが論じられるよう、そのメッセンジャーとなるべきもの>は一貫していた。

 資源として有限の紙媒体を通じてだったからこそ、言葉を選び、敬意を持って伝え合う「活字共同体」の一員であることを実感できた。そうした貴重な羅針盤の一つがなくなることに、寂しさを覚えずにはいられない。(万)