サッカーW杯南アフリカ大会優勝を予測するタコのパウル君=2010年7月(ロイター=共同)
サッカーW杯南アフリカ大会優勝を予測するタコのパウル君=2010年7月(ロイター=共同)

 「鶏が先か卵が先か」は答えがない問いとされてきた。ダーウィンが提唱した進化論で考えれば、鶏の祖先に当たる鳥が産んだ卵に突然変異が起こり、最初の鶏が誕生したと考えられるため「卵が先」と導き出せる。

 生化学の視点では「鶏が先」となる。英国の研究グループは、卵の殻の形成に必要なタンパク質は鶏の体内でしか生成されないことを発見した。だが、その最初の鶏はどこから来たのかという根源的な問いが残る。

 「タコが先かイカが先か」。進化の順序を巡り、研究者の間で議論となっていた難題に方向性を示すかもしれない画期的な論文が発表された。島根大隠岐臨海実験所の吉田真明教授(進化生物学)らの研究グループが「タコはイカのような生物が進化したと示唆される」と突き止めた。

 「生きた化石」と称される深海生物のコウモリダコの遺伝子情報を調べたところ、イカ類のゲノムに近かったという。迷路を解き、瓶のふたを開ける知能を持つタコは無脊椎動物の中で最も賢いとされ、理にかなう。サッカーのワールドカップで試合結果を的中させて、一躍「時のタコ」になった「パウル君」を思い出す。

 本コラムも「書き出しが先かオチが先か」との問いに直面する。ただ、これだけは絶対に書き出しが先と声を大にしたい。こなれた表現を締めで使おうとすると、もれなく力みが出る。オチはふっと緩めるぐらいが塩梅(あんばい)がいい。(玉)