「虚」という漢字はさまざまな意味を持つ。むなしい、何もない、空っぽ、うわべだけ…。他にも油断や隙を表しており、相手の弱点や油断している無防備な部分につけ込んで攻撃する「虚をつく」という表現が一般的だ。
直近では野党の準備不足をつき、高市早苗首相(自民党総裁)が通常国会冒頭で決行した衆院解散・総選挙が象徴的。自民が3分の2超の議席を獲得し、首相にとっては大成功だろう。今後は飲食料品の2年限定の消費税率ゼロなど公約の実現が問われることになるが、達成できなければ有権者から「うわべだけだった」と厳しく批判される。
「虚をつく」のは海の向こうも同じようだ。米国がイスラエルと共に、イランへの大規模な軍事攻撃に踏み切った。イランにとっては、核開発を巡って米国と外交解決を目指す協議を進めていたさなかだけに、隙をつかれた格好だろう。
今回の攻撃により、イランの最高指導者ハメネイ師(86)が死亡。彼を「史上最も邪悪な人物の一人」と指摘していたトランプ米大統領は「イラン国民だけではなく米国人や世界各国の人々のための裁きだ」と交流サイト(SNS)に投稿したそうだ。
さぞや大統領はご満悦だろうが、報復を続けるイランは、イスラエルや中東各地の米軍駐留基地を攻撃しており、中東の混乱が一気に拡大している。無防備な民間人がどれだけ犠牲になるのか。虚(むな)しさばかりが募る。(健)













