地図があると、つい眺める。米国中西部やイタリア、北関東など見知らぬ都市でも、四角や二重丸の記号で人口を知り、地形や河川、周辺都市との距離から勝手にその地の人々の生活を察する。
先日、岡山県津山市から『津山市史』が新聞社に届いた。近現代に絞った800ページ超の重厚な一冊。津山に行ったことはなく、縁がない気楽さから地図感覚で眺めると興味深い。明治期の民衆騒動や大正期の労働運動、小作争議などから生きる重さが伝わる。
中でも大正後半に津山中学の生徒が教師相手に起こした行動が目を引く。教頭に対して、教養が時代の要求に適していない、教え方が不徹底、生徒の人格を認めないからと排斥運動を展開。暴力教師には集団で授業拒否もした。
英語教師だった松江ゆかりの明治の文豪・小泉八雲は名著『知られぬ日本の面影』で、西洋では教師が生徒を放校にするが、日本ではそれと同じくらい生徒が教師を放校にすると書いた。<資質に欠けるものがあると分かれば、いつでも革命的な運動が起きて学校から放逐される、ということがよくある>。津山中と一致する。
八雲は<日本の教師で生徒を殴る者はいない。殴ればすぐ職を追われるだろう>とも記述した。後に体罰を受けた身としては信じられない。先の大戦で従軍した人が軍隊でよく殴られたと聞く。元来は嫌われた悪行を学校や社会にまき散らしたのだろうか。(板)













