斐伊川の堤防を走る通称「上津土手」と呼ばれる島根県道出雲三刀屋線。眼前に広がる雄大な川の流れや山並みを遮るものはなく、古代から変わらぬ景色を見ているようで好きな道の一つだ。
先日、前をのんびり走る1台がウインカーをつけては消してを繰り返していた。だが、左折したり路肩に寄ったりすることはなく、減速もせずに走行。しばらくして気付いた。もしや「抜・い・て・く・れ」のサインか。
片側1車線の土手道だけに景観は素晴らしいものの、事故が絶えない道路でもある。前車のウインカーの真意は不明だが、もちろん無理な追い越しはしなかった。そもそもウインカーは進路変更や右左折の予告のためにあり、追い越しを促すサインとしての公式なルールはない。
非公式サインといえば、合流や車線変更で道を譲ってもらった際に、お礼の意味を込めてハザードランプを数回点滅させる「サンキューハザード」も慣習化している。要不要の意見は分かれるだろうが、多少強引な割り込みをされてもサンキューハザードで気が済むこともあり、物言わぬ車の意思伝達手段として個人的には活用している。
とはいえ、安全運転が第一。気を使った無理な“サイン”は無用の長物になりかねない。季節が冬から春へと移るこの時季は心身が不安定になりやすい「木の芽どき」。何事にも気を取られ過ぎず、余裕を持ってハンドルを握りたい。(衣)













