―物価や人件費の上昇で病院経営は厳しい状況が続いています。
新型コロナウイルスに関連した国の補助金が終了し、医療機関の収入となる診療報酬の改定は物価高による支出の増加に追いついていません。ロボット支援手術のような高度医療は患者にメリットがありますが、病院の持ち出しも大きくなります。2026年度の診療報酬改定では、財源を純粋に上乗せする対応がありました。人口減少が進む中、それぞれの病院が役割を明確にして連携する必要があります。

 

―小児医療の提供体制を強化しています。
当院は山陰地方で唯一、小児心臓血管外科手術を実施する施設です。小児脳神経疾患に特化した「小児脳神経センター」や、小児救命症例に対応する「地域小児救命救急センター」も整備しました。26年度は耳が聞こえにくい難聴児を支援する「子どものきこえサポートセンター」を新設する予定です。

―小児医療に力を入れる理由をお聞かせください。
高齢化が進む中、今後の島根を支えるのは若い人たちです。子育てを考えると小児医療が整っていない地域に若い人たちは住みません。小児医療を充実させることは、島根で暮らす子どもや保護者の安心につながります。安全・安心に出産できる体制整備も欠かせません。産科医だけでなく助産師も不足しており、喫緊の課題です。養成を進めて県全体の周産期医療提供体制を整えていきます。

 

―地域医療をどのように守っていきますか。
医師や看護師、薬剤師らによるチーム医療が大切です。大学病院の使命である医療人の育成に取り組みます。2040年には高齢者人口がピークを迎えます。軽症患者も含めて大学病院で受け入れると病床が逼迫し、高度な手術や重症対応が必要な患者を救えなくなる恐れがあります。近隣病院や介護施設、保健所との連携を強化し、「街の中にいつも大学病院がある」という安心を実感できる地域づくりを進めます。

 

人は成長する。身体だけでなく、心もまた成長する。若い頃に正しいと信じて下した判断が、年月を経て振り返ると、必ずしも十分ではなかったと思い至ることがある。私たちは真実を求めて考え行動するが、その時点での理解が必ずしも真理に至っているとは限らない。人の認識は常に限られた視野の中にあるからである。 大きな建物の前に立つとき、私たちに見えるのはその正面だけである。しかし、より高い場所から眺めれば、これまで見えなかった背後の景色も見えてくる。視点が変われば、世界の見え方もまた変わる。 組織もまた同じである。経験を重ね、互いの知恵を持ち寄ることで、これまで見えなかった課題や可能性が見えてくる。大切なのは、光の部分だけでなく影の部分にも目を向け、必要であれば自らの判断や行動を見直すことである。小さな気づきが大きな前進につながることもある。その一歩を踏み出す勇気こそが、組織を次の成長へ導く力になるのだと思う。

椎名浩昭=山口県出身(67歳)2021年4月に現職に就任。
趣味は魚釣りです。1年3カ月、隠岐にいたことがあり、そこで釣りを始めた時、陸から30センチぐらいのタイが2匹釣れました。それから毎日行くほどはまってしまいました。 船に乗って沖でよく釣りをしますが、海を見てるととても気持ちがいいですし、たとえ「坊主」であってもわくわくします。