―田部グループは近年、観光や酒造り、歴史文化の発信など多角的な事業を展開しておられます。グループ全体の現在地と、重点分野についてお聞かせください。
田部グループは現在、食、酒造り、観光、文化事業など50業態の展開を目指しています。地域に根差した資源を磨き上げ、価値を高めた上で事業として成立させることを一貫して重視してきました。人を呼び込み、消費を生み、その価値を地域に還元する循環づくりを基本にしています。
―田部竹下酒造では、日本酒ブランド「理八」が国内外で注目されています。
「理八」は純米吟醸からスタートし、想定以上の反響をいただきました。現在は英国をはじめ、中国、台湾、韓国など海外でも販売を進めており、今後は生産体制を整えながら、需要に応えていきます。島根の酒は既に、世界で評価されていると感じています。
―観光分野では、たたら製鉄や万博など、文化的な切り口も重視されています。
大阪万博などを通じて、たたら製鉄の魅力を体験型で発信してきました。日本の鉄や鋼の文化は世界に誇れる資産です。現地での体験を通じて理解を深めてもらうことで、地域の価値そのものが高まると考えています。
―個々の事業を、どのように成長につなげていくお考えでしょうか。
単体で完結させるのではなく、事業同士を連動させ、人の流れと消費を生み出すことが重要です。訪れた人が食や酒、文化などに触れ、次の目的地へと自然につながる。そうした回遊の仕組みをつくることで、地域に落ちる利益を最大化したいと考えています。
―グループとしての今後の成長ビジョンをお聞かせください。
田部グループとしては、売上500億円、将来的には1千億円規模を一つの目標に掲げています。地域資源を生かした事業を積み重ね、その価値を広げる。その結果としての成長を目指しています。

人口が減り、経済が伸び悩む時代だからこそ、挑戦する意欲が何より大切だと思います。外に出て、実際に見て、体験し、自分の中に情報を蓄積してほしい。その中からしか、新しい発想や価値は生まれません。地域にも、まだまだ可能性はあります。恐れずに挑戦してほしいですね。

田部長右衛門=2010年に(株)田部の社長に就任。
2021年創業の (株)たなべたたらの里では里長を務める。












