―畜産の業況はいかがですか。
輸入に頼る牛の飼料が円安で値上がりしています。かといって牛肉の値段は高くなっていません。物価高で高級感のある牛肉に手を出しづらくなり、消費が鈍っています。価格が暴落していた子牛市場は繁殖農家の廃業増加による頭数不足で、上昇に転じています。安く買った子牛を肥育し、出荷できていたこれまでと状況が変わり、肥育農家は一段と苦しい局面を迎えることになります。

 

―どう対応しますか。
一つは食品残渣(ざんさ)の飼料化です。原料としておからやもやし、焼酎、日本酒、果実の搾りかすなどを地元内外から集め、混ぜ合わせて乳酸発酵させます。毎日約50㌧の餌を作り、牛に与えることでコストダウンにつなげています。食品残渣を活用した独自の飼料は脂の質も良くし、高い評価を頂いています。グループで11人いる獣医師が栄養計算した配合設計を行っていることが他にはない強みです。

 

―今後の事業展開は。
益田市、浜田市、山口県萩市の四つの牧場で肉用牛と酪農の乳牛を計約1万2千頭飼育しています。計画しているのは、牛のふん尿を利用したバイオマス発電です。牛舎の換気扇や堆肥製造などで大量の電力を必要とし、電気代が経営に重くのしかかっています。牛舎屋根などに導入している太陽光発電は国の固定価格買い取り制度(FIT)の契約期間終了を見据えて蓄電池を設置し、売電から自家消費型への切り替えを進めます。

 

―益田商工会議所の会頭として、地域経済の活性化策をお聞かせください。
小規模事業者を中心に事業所の廃業が増えており、支援できるよう相談会などを通じてきめ細かく対応します。市民が待ち望んでいた山陰道三隅益田道路が開通し、観光振興や萩・石見空港の利用促進に何としてもつなげていく考えです。羽田便での往来による川崎商工会議所との連携の一環で、市内の無医地区でオンラインを活用した遠隔診療の仕組み作りも目指します。

 

生命誕生から出産、哺育、育成、肥育と大きく成長し美味しい牛肉となって消費者に 食べていただく生命総合産業です。牛とともに自然の中でのびのび仕事がしたい 協調性のある人を求めています。

松永和平=島根県益田市出身(71歳)1973年牧場経営を始める。
浜田商業を卒業後、大阪の銀行につとめるが都会になじめず3ヶ月で地方に帰り、 松永牧場を設立。現在肉牛の萩牧場、酪農のメイプル牧場、浜田メイプル牧場の 4牧場を経営。