雪化粧した東京都と神奈川県の境を流れる多摩川の河川敷=資料(共同通信社ヘリから)
雪化粧した東京都と神奈川県の境を流れる多摩川の河川敷=資料(共同通信社ヘリから)

 春は別れの季節。当方が取材拠点とする東京・永田町の国会記者会館では、同じ部屋で働く別の県の地方紙記者5人が3月末に転勤で地元に戻る。

 そのうちの1人は「保育料を払わないといけなくなる」とこぼした。東京都は2025年9月に第1子から無償化。1歳の長男を育てる中で恩恵を受けたが、地元の自治体の支援は第2子以降だ。物価高にあえぐ上、出費が増えるのではと不安をのぞかせていた。

 子育て支援の行政サービスを巡っては「多摩川格差」という言葉が広がりつつある。東京都の税収増を背景に、神奈川県との間を流れる多摩川を一本挟むだけで、サービスの格差が顕在化しているからだ。24日の参院総務委員会では神奈川県選出議員が問題を取り上げていた。

 都の手厚い子育て支援は出生数の増加につながっている。25年の速報値で出生数は8万8518人となり、9年ぶりに増加。都道府県別で増えたのは他に1県だけだった。ただし、充実したサービスを求め、子育て世帯が近隣県から吸い上げられた可能性もありそうだ。人口減少が続く中、限られた人材を奪い合っては元も子もない。

 東京一極集中是正の必要性は当欄でもたびたび訴えてきた。26年度は地方税収の偏在是正に向けた議論が本格化する。東京に転勤し、再び地元に戻る時に悩む必要がないよう、どこにいても同じ子育てサービスが受けられる社会を望んでいる。(吏)