詰め襟(左)とブレザーの学生服(菅公学生服提供)
詰め襟(左)とブレザーの学生服(菅公学生服提供)

 <制服の胸のボタンを下級生たちにねだられ>。斉藤由貴さんの41年前のヒット曲『卒業』の歌詞にある、卒業式に大切な人に第2ボタンを贈る風景はほぼ見られなくなったそうだ。

 詰め襟の学生服「学ラン」とセーラー服を多様性への配慮から男女共通のブレザー型に変える学校が増えたのが一因。多様性は担保された一方、学校関係者によると、ブレザーはネクタイやシャツが乱れやすく、学ランの方が生徒指導がしやすいという。見なくなったといえば学ランでも指導対象だった短ラン、ボンタン姿の生徒も消えた学校風景の一つだ。

 どうあれ、卒業式は学生服を着る最後の日。出雲高校の新聞部が昨年発行した『鷹の澤新聞』卒業式号のコラムが印象深い。下級兵士との意味もある「卒」の字をひもとき、卒業生は「同じ服を着た集団=十把一絡(ひとから)げ」とも捉えられるとした上で“逆説”を展開する。

 「卒業生を見ると『制服ってカッコイイ』と思う。みんなが制服だからこそ、個性を感じられる」「十把一絡げの集まりでは決してない」と記し祝意を伝えていた。新たな道に進む卒業生の気迫を感じ取ったのだろう。若い感性は面白い。

 冒頭の『卒業』には<セーラーの薄いスカーフで止まった時間を結びたい だけど東京で変わってく あなたの未来は縛れない>との歌詞もある。旅立ちの春。制服を脱いだ若者たちよ、誰にも縛られることなかれ。(衣)