日本医史学会(理事長・坂井建雄順大特任教授、会員約700人)の第122回オンライン島根大会がこのほどあった。新型コロナウイルス禍を受けて保健科学研究所の加藤茂孝学術顧問が、正確な情報発信が対策の要だとする緊急提言を発表した。
「コロナ禍における医史学の役割」と題した緊急提言は、未知の感染症によって人々が抱く不安や恐怖から差別や偏見が生まれる悪循環を指摘。「正確な情報発信で不安をいかに減らすかが感染症対策の大きな目標になる」と説いた。
深刻な感染症は世界で5年に1回のペースで発生し、日本には10年に1回の割合で入ってくるとして、常に備えを怠らないことが重要だとも呼び掛けた。
公開講座では、島根大医学部の佐野千晶教授が新型コロナ感染拡大のメカニズムや感染経路別の対策をひもとき、発症を予防し、重症化を防ぐワクチンの効果も紹介。感染収束が見通せない状況の中、「息切れしない継続可能な対策を行っていくべきだ」と訴えた。
出雲地方の医学史・洋学史に関する講演もあった。
学会は当初、島根大松江キャンパス(松江市西川津町)で開く予定だったが、変異株流行を受け、オンラインに切り替えた。
特設サイトには期間中、約3300件のアクセスがあり、梶谷光弘大会名誉会長は「想定外の閲覧があった。医学史を踏まえ、新型コロナを正面から取り上げられた成果は大きい」と語った。 (新藤正春)












