新型コロナウイルスワクチンの1回目と2回目の接種で異なる製品を使う「交差接種」の効果や安全性について、国の医療研究支援や予算配分を担う「日本医療研究開発機構」の研究班が検証を始めたことが9日、分かった。特定のワクチンの供給が停止するなど、異なる製品を接種せざるを得ない事態に備え、データを集める。

 海外では、異なるワクチンを打つと感染を防ぐ中和抗体の数値がより高まったとの報告はあるものの、データはまだ限られていて、国内でも検証されていない。ただ、厚生労働省のワクチン分科会は既に、転居や重いアレルギー反応が出たなどの医学的理由で1回目と同じワクチンが打てない場合は、条件付きで交差接種を認めている。

 研究をとりまとめる医療法人相生会(福岡市)の広田良夫臨床疫学研究センター長は「ミスで異なるワクチンを打ったり、あるワクチンの供給が途絶えて別の製品で代用したりする事態は起こり得る。問題がないかどうか、日本でも検証する必要がある」と話す。

 研究では、政府が承認している米ファイザー製、米モデルナ製、英アストラゼネカ製を使用。1回目と2回目で異なる組み合わせのワクチンを接種する6グループ、同じ製品を2回接種する3グループに分ける。参加者は20歳以上で、各グループ30人程度を見込んでいる。接種間隔は一律に4週間とする。