「コロナ禍で生活環境が一変し、孤独を感じている学生の実態が明らかになった=松江市内(写真はイメージ写真)」
「コロナ禍で生活環境が一変し、孤独を感じている学生の実態が明らかになった=松江市内(写真はイメージ写真)」

 コロナ禍で一変した大学生の生活。自宅にこもってのオンライン授業、部活動やサークルといった課外活動の制限…。人生で最も楽しいとされるキャンパスライフを奪われた学生たちは何を思っているのか。山陰両県で最も多くの学生が在籍する島根大の若者たちの声を拾った。

「話し相手がほしい」「誰かと一緒においしいご飯が食べたい」。調査で明らかになったのは、友人との触れ合いが断たれて当たり前の生活が過ごせず、孤独を深めていた実態だ。

 調査は、学生の潜在意識を探るため、山陰中央新報社が具体的な選択肢や前提条件を設けず実施。島根大の学生に委託し、8月から9月にかけ、計49人(男16人、女33人、平均年齢20・1歳)に対面で聞き取った。

 「自分にとって今、してほしいことは何か」を尋ねたところ、17人が孤独感に関する回答を寄せた。「雑談がしたい」が7人に上り、「誰かと一緒にご飯が食べたい」と答えた学生は3人だった。「笑わせてほしい」や「サークル活動の時間制限を緩和してほしい」といった声もあった。

 学生の心身のケアに携わる島根大保健管理センターの河野美江教授(58)は「孤独を感じている一般学生がこんなにも多いとは」と受け止める。

 島根大は2020年度、キャンパスへの入構や課外活動を制限し、前期授業は全てオンラインで実施。急激な生活環境の変化に伴う心身の不調を把握するため、オンラインによる健康相談を開始し、ネット上でやりとりできる健康チェックシートを作って周知した。

  この結果、20年度の相談件数は前年度比27%増の2234件。延べ件数のため単純比較はできないが、全学生(約6000人)の37%が相談した換算となる。

 21年度はさらに増え、4~7月は前年同期比14%増の975件となった。特に5月は、コロナ前の19年度に比べて2倍以上の300件超。オンライン相談が学生の心理的ハードルを下げ、需要を掘り起こしたこともあるが、河野教授は「昨年は(他人と触れ合わない生活を)何とか我慢できても、今年は我慢できなかったのだろう」と推察する。

 大学側がとりわけ懸念するのは昨春入学した2年生だ。全国大学生活協同組合連合会が7月に行った学生アンケートによると、「意欲が湧かず無気力に感じる」「友人とつながれていない孤独感」「自分の居場所がない」などの不安を訴えた割合が2年生で多かった。

 河野教授は「学生がものを言える場を確保しないといけない。15分、30分であっても時間を確保し、一人でも多くの相談に乗る」と「第6波」を見据えながら、コロナ禍で増えた在宅時間を活用して資格取得の勉強を始めた学生を引き合いに出し「学生がプラスの行動を取れるように援助したい」と話す。

<大学生の声(抜粋)>

「1人暮らしのため、家での話し相手がほしい」

「雑談相手になってほしい。自分と同じ趣味を共有してほしい」

「友達と普通に会える時間がほしい」

「誰かと阪神タイガースの話がしたい」

「おいしいごはんに連れて行ってほしい」

「就職について相談できる人が身近にいてほしい」

「他人としゃべる機会がないので、定期的にコミュニケーションを取りたい」