新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)が終わらない。中国湖北省武漢で最初に爆発的感染が起きてから間もなく2年。多くの国で感染の増減が繰り返され、市民はウイルスとの闘いで精神的、経済的に疲弊した。社会の分断も深まる中、全世界で犠牲者数は約500万人に上る。
対策の〝救世主〟と期待された新型コロナワクチン。各国で接種が進み、当初は立ち遅れた日本も2回の接種を終えた人が人口の7割に達した。重症化を予防し、死者数を一定程度抑え込む効果は見られた。
ただアフリカ大陸での完了率は1桁台で、格差が浮き彫りに。感染力が高いインド由来の変異株「デルタ株」が世界で猛威を振るう中、途上国の人々は置き去りになったまま、先進国では追加的に免疫を高める3回目接種が始まっている。
ワクチンを巡ってはインターネット上で真偽不明の情報が氾濫。接種の有無で、海外渡航や店内飲食など可能な社会活動の幅が左右されている。日本では感染拡大が続く状況で強行された東京五輪への賛否で、国民の間に亀裂が入った。
国連のグテレス事務総長は9月、新型コロナであらわになった格差や分断で「不信という病」が広がっていると警鐘を鳴らした。