農林水産省は28日、景観維持などで優れた取り組みを行う令和版「棚田百選」を選定する方針を決めた。従来の「日本の棚田百選」は1999年の決定から20年以上が経過し、荒廃が進んでいる地域もあるため、新たな枠組みで優良な棚田を選出し、棚田地域の活性化や保全の促進を図る。11~12月に応募を受け付け、来年3月末までに決定する。

 同日、有識者や関係府省庁担当者による初会合を開催。名称は「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」に決めた。

 選定基準は棚田がある地域の振興に「多様な主体が参加していること」を明記。高齢化などで農業者だけでは棚田の管理が難しい地域が増えると見込まれ、住民や農協、地元の企業が一体となった保全を求める。

 棚田遺産に申請する市町村は、棚田で生産したコメのブランド化や観光資源としての活用といった特徴をまとめて農水省の選定委員会に提出する。

 日本の棚田百選は、農水省の有識者会議で1999年に117市町村(当時)の134地区が選ばれた。このうち島根は山王寺(現・雲南市大東町)、大井谷(現・吉賀町)など7地区、鳥取は横尾(岩美町)など2地区。百選に入っている棚田も今回の棚田遺産に応募できる。棚田遺産の選定後も棚田百選は併存するため、農水省は「PRを継続してほしい」としている。