地震を伝える山陰中央新報の紙面(10月6日付)
地震を伝える山陰中央新報の紙面(10月6日付)

 島根県東部と広島県との県境付近を震源とする震度1、2の弱震が今年、急増している。例年は3~5回だが、今年は10月中旬までに20回近く記録した。島根県内では奥出雲、飯南両町などで複数回、揺れを観測している。専門家らは念のため避難経路や備蓄の確認を呼び掛けている。

 気象庁の震度データベースによると、今年1月から10月18日まで、広島県北部が震央の震度1以上の地震は計19回あった。このうち震度4以上は3回。深さは5~7キロメートルが大半で、マグニチュードも1・8~4・4と規模は小さい。4月に9回、8月は5回と月によって多発している。

 現地周辺の地質に詳しい島根大総合理工学部地球科学科の向吉秀樹准教授(構造地質学)によると、県境に位置する中国山地は元々地震が多発しがちな地域であり、一連の地震は、断層が水平方向に動くことで生じる「横ずれ断層型」とみられるという。

 相次ぐ揺れに、向吉准教授は「内陸部の地震が活動期に入っている」と分析している。その上で「現時点では規模の小さい揺れが大半だ。同じ地域で、偶然発生が集中しているのではないか」と見ており、今後の警戒は必要だが、即座に大地震の予兆と捉えるには至らないとしている。

 ただ、山陰で起きた地震に注目すると、2000年10月の鳥取県西部地震と16年10月の同県中部地震はいずれも事前に小規模な揺れが続いた後、大規模地震が生じたとされる。

 向吉准教授は「避難時に持ち出す食料や生活用品を点検するほか、家族と避難経路、避難先の確認を心がけるべきだ」と話す。
       (中島諒)