衆院選は与党の勝利に終わった。日本は少子化で曲がり角に立つが、投票率は低調だった。東京大名誉教授の御厨貴氏、元外務事務次官の藪中三十二氏、日本総合研究所理事長の翁百合氏が戦いを総括し、今後の課題を展望した。

野党共闘は奏功せず 御厨氏

「政治とカネ」に不満 翁氏

 ―結果の受け止めは。

 御厨 自民党が(追加公認含め)絶対安定多数の261議席を獲得したのは健闘だ。接戦区の終盤で底力を見せた。他方、幹事長の甘利明氏が小選挙区で敗れた結果からは「政治とカネ」の問題に対する有権者の不信と怒りが読める。安倍政権以来の森友学園や「桜を見る会」などの疑念が説明されない。

 岸田文雄首相がこうした問題に向き合わないと、政権運営に響きかねない。野党共闘が奏功しなかったのは、共産党への嫌悪感が底流にあり、単純な足し算にならなかった。...