川崎大師の参道沿いで、あめ専門店を紹介する磯谷祥太さん(左から2人目)
川崎大師の参道沿いで、あめ専門店を紹介する磯谷祥太さん(左から2人目)
吉本興業に所属するお笑いコンビ「レギュラー」のトークを楽しむ高齢者
吉本興業に所属するお笑いコンビ「レギュラー」のトークを楽しむ高齢者
川崎大師の参道沿いで、あめ専門店を紹介する磯谷祥太さん(左から2人目)
吉本興業に所属するお笑いコンビ「レギュラー」のトークを楽しむ高齢者

 オンラインによる高齢者向けの有料レクリエーションサービスが続々と誕生している。ニーズに合わせて旅や音楽、お笑いなどジャンルもさまざま。新型コロナウイルス禍で外出がままならないシニアの暮らしに潤いをもたらしている。

 「くず餅などの名物があり、ふらっと歩きやすい場所です」。10月、厄よけで有名な川崎大師(川崎市)。オンラインツアー「旅介(たびすけ)ちゃんねる」のリポーター、磯谷祥太さん(37)が視聴者に向けて参道の特徴を説明した。

 介護施設などでレクリエーションの時間に見てもらおうと、月に5本以上を午後2時から1時間生配信。旅先の紹介だけでなく、クイズを出したり、体操で体をほぐしたりと、飽きないように工夫をしている。

 磯谷さんは介護施設向けに旅行を企画する会社に勤務する。コロナ禍でキャンセルが相次ぐ中、少しでも旅行気分を味わってもらえればと同ツアーを開始。今年9月までに伊勢神宮など全国60カ所を紹介した。

 ツアー終了後、入所者がその場所にまつわる思い出を職員に語ることがあるなど、施設内の話題づくりにも役立っていると磯谷さん。「生中継・高画質・参加型であることがポイント。臨場感ある映像を届けたい」

 「リリムジカ」は童謡や流行歌などを演奏し、高齢者に楽しんでもらう企画に取り組む。当初は介護施設ごとに個別に対応していたが、今年9月から複数の施設が同時に参加できるプログラムをスタートさせた。

 「施設に入っても好きなことに取り組んだり、参加したりできるのは大事なこと。その環境づくりのお手伝いができれば」と代表取締役の柴田萌さん。

 柴田さんのレパートリーは「リンゴの唄」など約400曲。演奏の際、キーを下げるなど心配りも細やかだ。「高齢になると、歌声が出づらくなる。キーを下げ『良かったら声を出してみてください』というぐらいのアプローチにしています」

 吉本興業も9月に参入した。民間資格「レクリエーション介護士」を取得したお笑いタレントを起用。さまざまなレクリエーションをオンラインで提供する「エブリ・プラス」と連携し、同社のサイトを通じて見られるようにした。

 吉本興業ホールディングスの泉正隆副社長は「介護業界で活躍するタレントはこれからますます増えていくと考えている。介護施設の利用者、職員の皆さまが笑顔になれる場をつくり、少しでも介護業界の役に立ちたい」と話す。

 

■施設での利用 工夫必要

 高齢者のレクリエーションに詳しい余暇問題研究所の代表を務める山崎律子さんの話 高齢者向けの施設では、他の施設とは異なる特徴を出すために特色のあるレクリエーションを実施している。ただ、高齢者といっても60代から100歳を超える人までさまざまで、運動能力や認知能力もそれぞれ異なる。オンラインによるレクリエーションを施設で利用するならば、動画を流すだけでなく、職員が介在して声掛けをし、参加者が楽しめるようにするなど工夫が必要だろう。