新型コロナウイルスの感染拡大の第6波に備え島根県が9日、県内29の医療機関に確保する専用病床計324床を、26床増やし、350床とする目標を発表した。1日の最多療養者数の想定をこれまでの320人から450人に改め、自宅や宿泊施設での療養を組み合わせて難局を乗り切る考えだ。医療機関と協議を進め、病床確保計画を月末までにまとめ、12月から運用を始める。

 第6波に備えるため政府は各都道府県に対し、第5波の1日の最多療養者数の2割増を想定した病床確保を要請。島根は9月2日の276人が最多だったものの、今後、感染力の強い新たな変異株が出現する可能性を踏まえ、450人に増やして医療提供体制構築を進める。450人の内訳は入院患者250人、県内宿泊施設3カ所での療養100人、自宅療養100人。

 県内の医療機関では、第5波の時点で医療スタッフの不足や通常診療の縮小といった影響が出ており、病床数の大幅な増加は困難とみられる。このため第6波では、病床数の追加確保と併せ、宿泊療養施設に処置室を設け、重症化を防ぐ効果のある薬を投与する「抗体カクテル療法」の実施を検討。最大200人規模の自宅療養者の健康観察ができるよう、訪問看護ステーションや医療機関との連携強化も図る。

 県感染症対策室の田原研司室長は「確保した病床の確実な稼働を含め、一般医療とコロナ医療が両立可能な計画を構築していく」と述べた。

  (佐々木一全)