松徳学院中学・高校(松江市上乃木1丁目)の卓球部の寮が7月の豪雨で被災し、インターネットを通じて修繕費の寄付を募ったところ、関係者や見ず知らずの人から約600万円が寄せられた。改修工事は12月上旬で完了し、部員たちは不便を強いられた仮住まいから移る見通しが立った。全国に広がった善意の輪に感謝しながら練習に励む。 (奥原祥平)
全国大会常連の強豪校で、中高生20人が親元を離れ寮生活を送る。
7月12日、山陰両県を襲った猛烈な雨で寮の向かいの斜面で土砂崩れが発生。建物に倒壊の危険が迫り、引っ越しを余儀なくされた。転居先は9年間使われていなかった旧女子寮で、傷みがひどく、エアコンも使えない。3畳の1部屋に2段ベッドを入れ、3人が窮屈に生活した。
そんな状態で出場した8月下旬の全国中学校体育大会は男子団体3位、同月中旬の北信越総体(インターハイ)では男子団体16強入りと底力を発揮した。
辛くも夏を乗り切ったものの、このままの生活では生徒が持たないと、顧問の足立泰志教諭(40)は9月中旬にクラウドファンディング(CF)を開始。学校にゆかりのある人たちから寄付金が寄せられ、初日で目標の200万円を達成した。
その後、窮状を訴える顧問の呼び掛けがSNS(会員制交流サイト)で拡散され、勢いが加速。面識のない卓球選手らが続々と支援し、最終的に372人から計505万1千円が集まった。地元企業など個別の寄付を合わせると、浄財は約600万円となった。
高校1年の伊佐和真さん(16)=沖縄県北谷町出身=は「感謝の気持ちを忘れず、結果を残すことで恩返ししたい」と冬の大会での活躍を誓う。足立教諭は「卓球をツールに地域との交流イベントを企画するなどして、これまで以上に応援される部活動を目指したい」と力を込めた。