村の学者然とした老人が大部屋で寝ていた。信州・上田盆地の南、長野県丸子町(現・上田市)の丸子中央総合病院の一隅である。胸を強く打って胸腔(きょうくう)に血液がたまっているという。1995年ごろのことだ。

 その人物が晩年の糸川英夫さんだと...