主な相談窓口一覧
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「いのちの電話」の電話相談を受けるデスクに座るスタッフの女性
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 さまざまな悩みにボランティアの相談員が耳を傾け、自殺の予防に大きな役割を果たしてきた「いのちの電話」の取り組みが、50年の節目を迎えた。東京で始まり、現在全国で計50団体が活動。新型コロナウイルス禍が続く中、仕事を失ったり、感染への不安を抱えたりする人たちに、そっと寄り添っている。

 「皆さまのボランティア精神は本当に素晴らしい。これからも苦しんでいる人々に温かい思いを届けていただきたい」。10月、東京・銀座で開かれた社会福祉法人「いのちの電話」(東京)の50周年記念式典。俳優の吉永小百合さんから寄せられたメッセージが読み上げられた。

 いのちの電話がスタートしたのは1971年10月1日。ドイツの教会から宣教師として派遣されていたルツ・ヘットカンプさんが中心となって組織を立ち上げ、その後、全国に活動の輪が広がった。

 「誰にも相談できず、つらい思いをしている方が電話をかけてくる。『死にたいという気持ちになる前にできることはないか』というのが、私たちの活動の意味です」と末松渉理事長。

 2020年に同法人が受けた電話は約1万6千件。19年と比べて約4800件減少したが、新型コロナ禍の影響で活動に参加できる相談員が減ったことなどが背景にあり「受話器を置くと、すぐに次の電話が鳴る状況だ」という。

 末松理事長は「出られなかった電話は相当ある。受けた数の10倍か、それ以上かかってきているのではないか」とみる。

 相談内容は新型コロナ関連が目立つ。「リストラされてお金がない」「テレワークになってから、うつ病になり苦しい」「(新型コロナに)感染して自宅療養しているが、不安で気持ちが混乱している」。人との距離を保つ生活が日常となり、孤立してしまったことへのつらさを訴えることもある。

 全国組織の一般社団法人「日本いのちの電話連盟」(東京)によると、20年に全国50団体にかかってきた電話は計約52万8千件。うち1割が自殺の恐れがあったり、自殺を予告したりする内容だった。同連盟の関係者は「コロナ禍において大変苦しい思いをされているお気持ちを、私たちに聴かせてください」と利用を呼び掛けている。

 全国の各団体の連絡先は同連盟のホームページで。電話(0570)783556(午前10時~午後10時)、同(0120)783556(午後4~9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)でも受け付けている。