灯油ランプ専門店「江戸川屋ランプ」店主の石田浩一さん=10月、愛知県春日井市
灯油ランプ専門店「江戸川屋ランプ」店主の石田浩一さん=10月、愛知県春日井市

 愛知県春日井市の灯油ランプ専門店「江戸川屋ランプ」の売り上げが好調だ。「ステイホーム」が求められた新型コロナウイルス禍で、「明かりに癒やし効果がある」と話題に。店主の石田浩一さん(70)は「ぬくもりのある光に触れると、心が安らぐ」と話す。

 閑静な住宅街の一角にたたずむ同店には、手のひらサイズの小さなランプからキャンプ用のランタンまで、数百種類がずらりと並ぶ。価格は千円台から6万円ほどで、江戸時代末期の一点物も。炎を覆う「火屋(ほや)」などの部品も取りそろえ、修理も請け負う。

 学生時代から登山やキャンプが趣味だった石田さん。暗い夜道を柔らかく照らすランプは「動物から命を守ってくれる存在」と親しみを持っていた。ただ、当時は品ぞろえが豊富な店に巡り合えず、「自分で店を作ろう」と一念発起。1987年に創業した。

 当初は売り上げが伸び悩んだが、貿易関係の会社で働いていた経験を生かし、欧米やアジア各国を飛び回り仕入れ先を切り開いた。今では有名テーマパークや映画にも石田さんが卸したランプが登場する。東京五輪・パラリンピックの聖火リレーでは種火の保管用に全国各地から注文があった。

 新型コロナの感染拡大が続く中、家の中で癒やしを求める客からの注文も相次ぐ。石田さんは「ランプの光でリラックスしてゆっくり一杯やろうという気持ちになる」と解説する。1人でアウトドアを楽しむ「ソロキャンプ」の流行も追い風となっている。

 ランプの魅力を「異次元空間製造器」と表現する。「100年前にタイムスリップした気分になる。周囲の暗闇と一緒に楽しんでほしい」