中国地方初の輸出用清酒製造免許を取得した陳韋仁さん=出雲市斐川町中洲、台雲酒造合同会社
中国地方初の輸出用清酒製造免許を取得した陳韋仁さん=出雲市斐川町中洲、台雲酒造合同会社

 台湾出身で松江市内の酒蔵で蔵人として働いた陳(ちん)韋仁(いにん)さん(41)=出雲市西代町=が29日、中国地方で初めて輸出用清酒製造免許を取得する。自ら酒蔵を設け、本格的に台湾や香港向けの酒造りを始める。新型コロナウイルス禍収束後はインバウンド客向けの酒造見学ツアーを催す計画で「島根と台湾をつなぐ拠点にしたい」と意気込む。

 輸出用清酒製造免許は国税庁が日本酒の輸出拡大のため4月に新設。同庁によると、これまでに全国の4蔵元に交付されている。

 陳さんは2008年に島根大に入学。日本酒のおいしさに魅了され、卒業後は旭酒造(山口県岩国市)や李白酒造(松江市石橋町)などで修業を積んだ。

 18年に島根と台湾にゆかりのあるコメ「台中65号」の栽培を始め、そのコメで造った日本酒を台湾の個人向けに輸出してきた。国内外の品評会で、すっきりとした味が評価されて複数の表彰を受けた。20年、輸出用の免許新設を知り、独立して海外向けの酒造りに取り組もうと決意。出雲市斐川町中洲の空き事務所を借り、台雲酒造合同会社を設立した。

 これまで勤め先の協力を得て720ミリリットル入りを年1500本程度輸出していた。初年度となる今年は台中65号以外の酒米も使い、約3500本の出荷を見込む。台湾では近年、日本酒ブームで需要が高まっているといい、自ら商談した飲食店や酒販店に卸す考えだ。

 新型コロナ禍で帰国を一時考えたが「まだ自分には修業が足りない。帰国したら進歩は止まる」と島根での挑戦を選んだ。免許を申請した7月下旬から毎日、酒造りの神を祭る佐香神社(出雲市小境町)で交付を祈願。晴れて29日に交付を受け、酒造りがスタートする。「とてもわくわくする。酒造りはもちろん、交流促進にも力を入れたい」と話した。   (平井優香)