新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大が続き、各国がワクチンの追加接種を加速させている。米ブルームバーグ通信などによると、5日までに日本を含め約60カ国・地域が着手した。欧州が最も多い一方、アフリカは2カ国のみで1回目の接種さえ進んでおらず、〝ワクチン格差〟が改めて浮き彫りになった。
日本では1日、医療従事者を対象に開始。来年以降、高齢者を中心とした一般住民にも順次拡大する。「2回目完了から原則8カ月以降」としている接種間隔は短縮させたい考えだ。
感染拡大が続く欧州では約25カ国・地域で実施され、アルバニアやリトアニアなどの小国も含まれる。フランスや英国は接種間隔を短縮。ジョンソン英首相は来年1月末までに18歳以上の全対象者に追加接種を提供する目標を掲げ、仮設会場設置などに軍も投入する。
米国では、一部市民がかたくなにワクチンを避け、必要な接種回数を終えた人口の割合が約6割で頭打ち状態だ。バイデン大統領は「最善の防御策はワクチン接種の完了と追加接種の完了だ」と訴える。
アジアでは中国や韓国、マレーシアなどが追加接種を実施。7月に始めたイスラエルや8月開始のチリは普及が進む。ロシアは必要接種の完了率が4割弱だが、追加接種も行った。11月にはプーチン大統領が3回目接種を受けたと明らかにした。
アフリカではアルジェリアとチュニジアの2カ国にとどまる。アフリカ全体の接種完了率は7%(3日時点)で、1回目さえ受けていない人が多い。「変異株の温床」(国連のグテレス事務総長)とも指摘され、世界保健機関(WHO)も「ワクチン供給の不平等を解消しないと、パンデミック(世界的大流行)は終わらせられない」(テドロス事務局長)と強調する。
米国や中国がワクチン提供加速を表明しているが、どの程度普及するかは不透明だ。感染が広がりやすい脆弱(ぜいじゃく)な状態が続いている。