本格的な冬の到来を前に、住まいに欠かせない給湯器の品薄が深刻化している。新型コロナウイルス感染拡大で海外からの部品供給が滞った影響で、入荷の見通しが立たず、故障の対応も難しい状況。今冬は気温が平年より下がり大雪も予想される中、山陰両県の取扱業者は凍結防止の対策を呼び掛ける。
給湯器大手メーカーの部品工場があるベトナムで今夏、コロナ感染拡大防止のロックダウン(都市封鎖)が実施され、日本への供給が寸断された。樹脂、電気配線部品や半導体の不足もあり、主要メーカー各社は新規受注を止めている状態となっている。
ガス給湯器を仕入れ、施工販売する山陰酸素工業(米子市旗ケ崎)は9月ごろから品薄となり、10月末時点で約350台の納品遅れが発生。その後1カ月で2・5倍の890台まで膨れ上がり対応に苦慮する。
現時点で顧客からの新規注文分は来年2月以降の納品になる見通しで、メーカーから明確な出荷時期は示されていないという。
家電量販店の100満ボルト松江本店(松江市乃白町)は需要が高まる年末を前に、品不足を告げる案内板を店内に設置した。ヒートポンプ式給湯機エコキュートが1~2カ月待ちで、種類によっては6カ月以上先もある。
故障しても買い替えができない顧客にできるだけ対応するため、同店は各メーカーからマニュアルを取り寄せ、修理サービスの態勢も強化した。
気温が氷点下になると、凍結で給湯器や配管が破損する恐れがある。今冬の寒波到来に備え、山陰酸素工業営業本部エネルギー事業部の岩田剛部長(51)は、家庭でできる対策として「給湯栓から少量の水を流したりして凍結を防いでほしい」と話した。
(久保田康之)