大好きな校長の顔がこわばった。国語教諭を天職だと信じていた夏井いつき(64)は教員8年目の時、退職願を提出する。辞めたくないという葛藤もあったが、家庭の事情だった。勤務先の愛媛県の中学校校長は教育実習時代の恩師。「学校辞めてどうするんや」と怒られ、とっさに「俳人になる」と口にする。「校長は俳人でなく『廃人』と勘違いしたみたい」。夏井は当時を懐かしそうに振り返った。

 懇親会

 言葉に関わる仕事がしたくて教諭を目指した。京都女子大...