新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を前倒しして受けられる対象者について、政府が高齢者施設の入所者や職員を優先する方向で検討していることが14日、関係者への取材で分かった。国が保管している米モデルナ製ワクチンを活用する方針。新変異株「オミクロン株」の拡大の懸念が強まっていることを踏まえた。近く正式決定し、発表する見通し。
政府は3回目の接種時期について、2回目の完了から原則8カ月以上としていたが、対象者は2回目の接種から6カ月たっていれば、3回目を受けられるようになる。重症化リスクが高い高齢者施設の入所者や職員、精神科病院の入院患者などを優先することで検討している。1千万人近くが見込まれ、年内の前倒し開始も視野に入れる。前倒しするかどうかは自治体の判断で決める。
モデルナ製ワクチンの3回目接種は、有効成分を1、2回目の半分に減らして投与するという方法で週内に薬事承認される見通し。政府が保管しているモデルナ製の余剰500万回分を充てるほか、当初の配送計画で示したワクチンのうち一部を前倒しして使うことで調整している。
接種間隔を巡っては厚生労働省が11月、地域の感染状況などを踏まえて、自治体の判断で例外的に6カ月への短縮も可能とする方針を示した。だが、「例外」の具体的な考え方が明らかでなく、全国知事会などから基準の明示を求める声が相次いだため、クラスター(感染者集団)が発生した病院と高齢者施設の利用者や職員などを対象とすることとした。
その後、オミクロン株の感染確認を受けて一転し、政府はできる限り前倒しを進める考えを示していた。












