JR西日本米子支社が来年3月のダイヤ改正で山陰線や境線を大幅に減便することを受け、利用者は利便性低下に不安を募らせた。移動に鉄道を使う観光客への影響を懸念する声も上がった。  (取材班)

 「もともと本数が少なく、乗り過ごすと1時間以上待つこともあるのに」

 17日午後、浜田駅(浜田市浅井町)で列車を待っていた浜田高校1年の北尾颯太さん(16)は、ため息。出雲市-浜田駅間は平日計7本が減便し、浜田発の午後4時台の上りも1本減る。江津市内から同校へ通うため「さらに不便になってしまう」と困惑した。

 松江-米子駅間を利用する米子北高校1年の福場時さん(16)は「人があまり乗っていないので減便しても驚かないし、仕方がない」としつつ、通学時間帯などに減便が拡大しないか不安を募らせた。松江市上乃木3丁目の無職、細田保さん(87)は「移動手段がない子どもたちが大変だ」と案じ、生活への影響を見ながら本数を戻すなど柔軟な対応を求めた。

 減便の影響は新型コロナウイルス禍で打撃を受ける観光業の回復の足かせになりかねないとの声も。旅行で松江市を訪れ、松江駅で列車を待っていた大学生、寅田琉介さん(21)=大阪府吹田市=は「1時間に1本しか電車がなくて移動に時間を取られていたのに、さらに減ればますます観光しづらい」と話した。

 島根県は10月から、県職員が県西部に出張する際は山陰線とレンタカーを組み合わせて移動する試みを始めており、利用促進に力を入れる。丸山達也知事はコロナ禍での経営環境悪化による減便であることは理解しつつも「大変厳しい内容。県民生活に大きな影響を及ぼす懸念がある」とし、鳥取県の平井伸治知事も「コロナ後のダイヤ復活を速やかに強く求める」とコメントを出した。