培った経験をラグビーでも生かしたいと誓う元野球部の5人=米子市博労町4丁目、米子工業高校
培った経験をラグビーでも生かしたいと誓う元野球部の5人=米子市博労町4丁目、米子工業高校

 米子工業高校(米子市博労町4丁目)の野球部を引退した3年生5人がラグビー部に入り、27日開幕の第101回全国高校大会に臨む。高校球児憧れの甲子園には行けなかったが、野球で培った体力や根性を買われ、ラグビーボールを手にした。競技こそ違えど全国の舞台に進み「持てる力を出しきりたい」と闘志を燃やして花園ラグビー場(大阪府東大阪市)に立つ。 (柴田広大)

 5人は野球部のエースだった田中陸翔(りくと)選手(17)、捕手で主将だった高塚大輝選手(17)、内野手だった伊沢拓郎選手(18)、ともに外野手だった三原大知選手(17)、川内涼太選手(18)。選手層が薄いラグビー部の進木(しんのき)康広監督(41)に見込まれて熱心に誘われ、野球部引退後の8月下旬ごろから練習に加わった。

 当初は、楕円(だえん)形のボールの扱いやスクラムを組むといった基本動作もおぼつかなかった。それでも、練習を重ねるにつれ、徐々に板に付いたプレーができるようになった。ウイングの伊沢選手が「試合で初めてタックルが決まった時はうれしかった」、ロックの三原選手が「トライを決めた時の喜びが大きい」と話すように、5人は新たな競技にのめり込んでいった。

 5人を迎えて部員22人となったラグビー部は練習が活気づき、新たな競技にひた向きに励む5人の姿勢が刺激になってムードは上々。11月の県予選で4大会連続11度目の優勝を飾り、全国切符をつかんだ。進木監督は「野球部の厳しい練習を経験し心身ともに強い。とにかく諦めず全力プレーをしてくれるのは他の部員にも刺激になる」と喜ぶ。

 野球部では今年夏の県大会2回戦でサヨナラ負けを喫して敗退し、苦い思いを残して引退した。全国高校ラグビー大会では初日の1回戦で全国大会常連の城東(徳島県)と対戦する。高塚選手は「悔しい経験をした分、競技は変わるが今までの力を発揮してチームに貢献したい」と高校生活最後に一花咲かせるつもりだ。