任期満了に伴い、4日に告示された出雲市長選に3人の新人が立候補した。それぞれの横顔を紹介する。(三原教史)
▽川光 秀昭氏(無新、62歳)
熱帯魚観賞が癒やしに
放射線技師として旧島根医科大付属病院に勤務したことが政治に興味を持つきっかけだった。医療従事者に優しい患者と向き合ううちに「この人たちに何かしてあげたいという気持ちが膨らんだ」と振り返る。
出雲市で介護支援事業を始めるため、勤めていた神戸大医学部付属病院を退職し、2016年に妻の古里に移住。周囲の勧めで17年の市議選に立候補し、1期務めた。市長を目指すことにしたのは新体育館建設計画などを巡る議論の少なさに疑問を抱いたから。「医療、政治の道を開いてくれた出雲のためにも、自分の判断で政策が進められる立場に魅力を感じた」と力を込める。
熱帯魚観賞が趣味。自宅玄関の大型水槽で5種類の魚とエビを飼う。照明や水温管理の装置の調整も楽しみで「静かに眺めると癒やされる」と頬を緩める。
座右の銘は「隻手音声(せきしゅおんじょう)」。禅の問答で「声なき声、届いていない声に耳を澄ます」と自分流に解釈し、日々の戒めにする。出雲市大社町修理免。
▽小豆沢 貴洋氏(無新、46歳)
読書好き 速読には自信
14年前に父が亡くなり、祖父が創業した建設会社を33歳で継いだ。3代目として障害者の積極的な雇用を続け、就労支援などにも携わってきた。行政の支援制度に物足りなさを感じることも多く「さらなる充実に向けて基礎自治体でできるところを変えたい」と出馬の動機を語る。
市の教育委員を2016年から20年まで務め、教職員の多忙さに驚いた。小学4年から高校3年までの息子4人と暮らし、子育ての大変さが分かるだけに「不登校対策や先生の負担軽減は急務だ」と力を込める。
身長180センチで、出雲高時代は野球部の外野手兼控え投手として練習に明け暮れた。「やり尽くした感があった」と、しばらくは野球と距離を置いたが最近は保護者として息子の所属チームの練習に参加。「やはり野球は楽しい」と話す。
読書好きを自認し、実用書や経済書などジャンルを問わず月に5、6冊は読みこなす。「読むときは一気に。速読には自信がある」と笑う。出雲市大津新崎町2丁目。
▽飯塚 俊之氏(無新、55歳)
家族と囲む夕食楽しみ
政治の道を志したのは2003年に旧2市5町の合併法定協議会の委員になった時だった。「出雲の未来を議論していくうちに『地域をつくる』政治の面白さを知った」という。
現職の退任表明を受け、3期目途中だった市議からの転身を決意した。新型コロナウイルス対応など喫緊の課題が山積する中、「市政を知った即戦力になる」と自信をのぞかせる。
選挙のスローガンには、母校・明治大ラグビー部の代名詞「前へ」を選んだ。「市民と心を合わせ、スクラムを組んで一歩一歩進んでいく。まさに今の自分にぴったり」と話す。
2男3女の父で、子どもたちとにぎやかに囲む夕食が何よりのストレス解消の時間だ。体に気をつけようと健康器具を購入するものの三日坊主で終わり「家族に叱られてばかり」と目尻を下げる。
好きな言葉は「平常心是道」。偶然、別々の人から贈られ、縁を感じたことから座右の銘にする。常に平常心でいる大切さを心掛け胸に刻む。出雲市平田町。