カメラやスクリーンを設置した会場=松江市殿町、サンラポーむらくも
カメラやスクリーンを設置した会場=松江市殿町、サンラポーむらくも

 コロナ禍で職場の歓迎会を開催すべきかどうか悩む企業が多い中、宿泊施設サンラポーむらくも(松江市殿町)が、館内3会場をオンラインでつなぎ、密を避けて最大27人が一度に楽しめる宴会プランを企画した。「会食は9人まで」とする島根県独自の指針を順守した新たな宴会の形として提案し、自粛ムードの打破を狙う。

 県の丸山達也知事は3月中旬、県民同士の会食について、人数は9人以下、飲食時間は1時間半以内とする目安を示し、歓送迎会を「できるだけ実施してほしい」と呼び掛けた。

 ただ、その後も同施設の宴会利用は低調で、幹事の背中をもう一押しする企画を思案。新プランは最大9席の部屋を館内で三つ用意し、リモートで各会場をつなぐことで県指針の9人以下をクリアできるようにした。リモート会議用に昨秋導入した高性能カメラやスピーカーなどの機材を活用し、別会場の様子をスクリーンに映し出して一緒に楽しめる空間を演出する。

 各部屋のテーブルは飛沫(ひまつ)防止のパーティションを設置するほか、食事は従業員の出入りを減らすため箱膳で提供する。料理のみで1人5千円。別料金となる飲み放題の時間は1時間半に設定した。

 ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を活用し、職場や自宅など離れた場所からの参加も可能で、松江市内であれば配送無料で仕出し弁当を届けるサービスも行う。武藤真嗣支配人は「諦めるのではなく、こういうやり方ならできるという一つの選択肢になればうれしい」と話した。(藤本ちあき)