褐色の地面に、ぽつぽつと緑色の点があった。福島市南西部の雑草が生い茂った休耕田を耕し、にわか作りした畑。顔を近づけて見ると、乾いた硬い土を押し上げるようにして、カボチャが小さな芽を出していた。

 2011年6月。東京電力福島第1原発事故で被災し、福島県飯舘村から避難した渡辺とみ子(68)のまいた種が、1週間ほどで発芽したのだ。

 「こんなにひどい条件なのに、よく芽を出してくれたね。あり...