程原入道神社にある遊那御前の墓=島根県飯南町井戸谷(飯南町教育委員会提供)
程原入道神社にある遊那御前の墓=島根県飯南町井戸谷(飯南町教育委員会提供)
遊那御前が持っていたとされる鏡を手にする門脇順子さん=島根県飯南町井戸谷、谷公民館
遊那御前が持っていたとされる鏡を手にする門脇順子さん=島根県飯南町井戸谷、谷公民館
程原入道神社にある遊那御前の墓=島根県飯南町井戸谷(飯南町教育委員会提供)
遊那御前が持っていたとされる鏡を手にする門脇順子さん=島根県飯南町井戸谷、谷公民館

 【飯南】島根県飯南町谷地区に、平安末期の源平合戦で奮闘した平家随一の猛将・平教経(のりつね)の子孫だという女性がいる。谷公民館(飯南町井戸谷)館長の門脇順子さん(63)。1月に始まったNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で源義経と相対する場面が描かれるかは不明だが「少しでも描かれたらうれしい」と望み、町も平家とのゆかりや町の歴史を知ってもらう機会に、と期待する。

 教経は山城国(現京都府)出身で、平清盛の弟・教盛の次男。「平家物語」には、屋島の戦いで義経の忠臣・佐藤継信を矢で仕留め、壇ノ浦の戦いでは義経に迫りながら「八艘(はっそう)飛び」で逃げられ、手近の敵将を抱えて海に飛び込み、生涯を終える姿が記される。

 飯南町教育委員会のサイト「飯南町の歴史と文化」によると、子どもを身ごもった妻がおり、源氏の追及を逃れて中国山地の懐の谷地区にたどり着いた。住民は「誰にも話してはいけない」との意味を込め、遊那(ゆうな)御前と呼んでかくまった。地区の程原入道神社(飯南町井戸谷)には遊那御前の墓があり、子は門脇教本(のりもと)と名乗ったとの伝説が残る。

 神社から8キロほど離れた門脇さん宅には、教経が遊那御前に渡したとされる大小二つの鏡などが大切に保管されている。かつては教経とのつながりを示す家系図もあったという。子どもの頃、母・千枝子さん(故人)から教経の子孫だと聞き、神社の祭りには毎年欠かさず参加してきた。

 大河ドラマで源平合戦が始まり、門脇さんは「一瞬でも(教経が)登場するなら見てみたい」と心待ちにする。町教育委員会の石飛幹祐教育次長は「これをきっかけに、今まで目が向けられてこなかった飯南町と平家のつながりを知ってもらえるきっかけになればうれしい」と願う。

 (清山遼太)