オープンする店舗のカウンターに立つ永島真也さん=松江市東出雲町錦新町5丁目
オープンする店舗のカウンターに立つ永島真也さん=松江市東出雲町錦新町5丁目

 安来市の製鋼の現場で30年以上働いてきた男性が一念発起し、松江市内でスマートフォンの修理店を開業する。スマホの扱いに慣れていない高齢者向けに使い方講座も開く計画で「高齢者が社会のデジタル化に取り残されることがないよう、困りごとに対応したい」と意気込む。(今井菜月)

 念願の一歩を踏み出したのは、安来市在住の永島真也さん(51)。「一度しかない人生、もっと変わったことがしたい」と20歳から勤めた日立金属安来製作所を昨年末に退職した。

 物を直すのが昔から好きで、需要が見込めるスマホ修理で起業の準備を進めてきた。事業計画を練っていたところ、新型コロナウイルスがまん延し、高齢者がインターネットでワクチン接種の予約ができずに困っている現状を知った。

 「行政のオンライン化に、高齢者が付いていけない事態を何とかしたい」と、スマホの修理とともに使い方をやさしく教える講座を開くことに決めた。簡単な操作方法やLINEの始め方、キャッシュレス決済やトラブルの防ぎ方まで、個人や公民館単位で受け付ける。

 店舗は松江市東出雲町内の商業施設そばに好物件が見つかり、フランチャイズ加盟で「リペア本舗東出雲店」(錦新町5丁目)を構えた。3月1日のオープンを前に、通り掛かった高齢者から「(スマホ操作の相談ができる)あんたみたいな人がおってごすと助かーわ」と言われ、手応えを感じている。

 「スマホで困ったときはもちろん、何なら雑談でもしに気軽に訪れてもらえるような店にしたい」。朗らかに話す横顔に春風が吹く。