FC神楽しまねを支える応援団体「イエロージャケット」のメンバー=2021年、松江市営陸上競技場
FC神楽しまねを支える応援団体「イエロージャケット」のメンバー=2021年、松江市営陸上競技場

 日本フットボールリーグ(JFL)のFC神楽しまね(旧松江シティFC)は19日、東京都でクリアソン新宿と今季開幕戦に臨む。チーム名が変わって初のシーズン。開幕を前にFC神楽しまねのサポーターチーム「YELLOW JACKET(イエロージャケット)」のメンバーに、活動を続けてきた思いと今シーズンの意気込みを聞いた。(Sデジ編集部・宍道香穂)

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 当初は13日、ホームの松江市営陸上競技場にFCマルヤス岡崎(愛知)を迎えて開幕する予定だった。新型コロナウイルス感染者が出た影響で、開幕戦は19日に延期された。

 応援団は中心メンバー5人で運営し、応援コールやグッズの製作、会員への連絡、広報活動などに取り組む。
 試合ではほかの会員も合わせ10人前後で選手にエールを送る。モットーは「トモニタタカイトモニワラオウ(共に戦い共に笑おう)」。不利な状況でも粘り強く応援し、勝っても負けても最後には笑顔で試合を終えるよう、観戦を楽しむ姿勢を大切にしているという。

サポーターたちが制作した横断幕(イエロージャケット提供)

▷試合中に見せるギャップが魅力
 松江市西津田7丁目の会社員、山本里佳さん(41)は2013年頃から試合を見に行くようになった。サッカーを観戦した経験はなかったが、ジョギング中に松江市営陸上競技場で試合があるのを知り、試合を見に行くようになってから観戦が楽しくなったという。
 応援で使う太鼓を持参したり、チームがJFLに入ってからはホーム、アウェー戦ともにほぼ全ての試合に足を運んだりと、のめり込んだ。アウェー戦では観客席に1人だけだったこともあるという。

イエロージャケットのメンバー、山本里佳さん

 山本さんは「普段は真面目で好青年の選手たちが、試合が始まると血気盛んに戦うギャップが魅力」と話す。

昨シーズンのFCマルヤス岡崎との試合後半、前へ攻めるMF澤島輝選手(右)=松江市営陸上競技場


 チームの雰囲気が和やかな点も魅力といい「試合前後の様子やSNSに投稿される写真などを見ていると、選手間の仲の良さが感じられる」とほほ笑んだ。

イベントでファンと交流する選手(2021年12月)

 試合の応援は「みんなでやると迫力や一体感を感じられる。人数が増えるとより楽しい雰囲気が出るため、どんどん応援に加わってほしい」と呼び掛ける。「サッカーに詳しくないからと尻込みせず、気軽に参加してもらえたら」。
 応援団の活動は張り合いになり、試合がないオフシーズンの間は物足りなさを感じるほど。選手から「声援が力になりました」「諦めずに済みました」とのコメントが届くのもうれしく、最後まで粘ろうと応援に熱がこもる。

メンバーが制作したメガホン。チームカラーの黄色に、昨シーズンまでチームロゴに使用されていたツバキのモチーフが映える(イエロージャケット提供)

▷最後まで諦めずエールを
 松江市天神町のグループホーム経営、長谷川尚史さん(45)は応援コールの制作などを担当する「コールリーダー」。神楽しまね(当時はヴォラドール松江)の選手だった知人に「試合を見に来て」と誘われたことをきっかけに、2014年頃から応援している。

イエロージャケットのメンバー、長谷川尚史さん

 当初は、ゴール裏で声援を送る応援団に加わりたいと思いながらも勇気が出ず、そばで眺めているだけだったという。ある時、試合の直前にコールリーダーを務めるメンバーから「いつも来ているよね」と声を掛けられ、応援団に加わった。

 予定を調整できる限りは試合に足を運び、アウェー戦も数多く観戦した。福井県や栃木県など遠方にも自家用車を運転して訪れる。2018年には千葉県市原市で、チームが地域チャンピオンズリーグからJFLに上がった試合を観戦した。2015年に惜しくも昇格のチャンスを逃し、「チームがなくなってしまうのでは」「この先どうなるのだろう」と不安も抱えていたという。約3年間で戦力を整え、晴れてJFLに昇格した。長谷川さんは「待ちに待った時がきた、と感極まった。自分も周囲のサポーターも涙を流して喜んだ」と当時を振り返る。

2018年、JFLへの昇格を懸けた最終戦に勝利して喜ぶサポーター=千葉県市原市、ゼットエーオリプリスタジアム

 試合中は大声でエールを送り「試合後には声がガラガラになる」といい、「みんなで盛り上がる一体感が楽しい。応援団に入る前は気恥ずかしさがあったが、得点が入るとみんなで喜び合ったり、非日常感を味わえたりと、1人で見ていた頃とは違う楽しさを感じられる」と話した。

 新型コロナウイルス対策で、声を出して応援できない状況が続くが「試合の最後まで諦めず応援するスタンスは変わらない。不利な状況でも、選手が戦う限りは太鼓や手拍子で力を送りたい」と今シーズンの応援に力を込めた。

試合にはスネアドラムを持参し、応援を盛り上げる

▷なじみやすく、長く使える応援テーマを
 出雲市大社町入南、農業の金築一成さん(48)は「声出しリーダー」を務める。コールリーダーの長谷川さんと共に、チーム全体の応援テーマや選手それぞれの応援歌を制作するほか、応援席では太鼓をたたき、一体感のある声援を演出している。
 現監督の実信(さねのぶ)憲明(のりあき)氏がガイナーレ鳥取(当時はSC鳥取)に所属していた頃からのファン。実信氏が2014年、島根県に移籍したことをきっかけに神楽しまね(当時は松江シティFC)を応援し始めた。ガイナーレの応援団で活動した経験を買われ、イエロージャケットの中心メンバーとして活動する。

イエロージャケットのメンバー、金築一成さん

 金築さんと長谷川さんは、リズムに合わせて声援を送る「コール」を制作する。チーム全体のコールのほか、選手それぞれに送るコールも作り、毎年少しずつアレンジしているという。今年はチーム名が変わり、コールにも「神楽の戦士たち」「レッツゴーしまね」など、新しいフレーズを盛り込んで開幕戦に臨む。金築さんは「コロナが収束して、また声を出して応援できるようになれば」と、願いを口にした。

新型コロナ禍で声援を送ることができない間もコールの制作を続けた

 流行の曲のリズムを取り入れることもあるが、金築さんは「なじみやすいリズムで、ずっと使い続けられるものを作るようにしている」と話した。

▷勢いあるうちにJリーグへ
 金築さんは神楽しまねを応援する理由について「地元のチームを応援したいという気持ちが一番」と説明。地域を盛り上げる起爆剤の一つになればと、応援に力を込める。
 金築さんは「神楽しまねは試合後、サポーターの見送りをしてくれる。ファンとつかず離れずの距離を保ち、寄り添ってくれる姿勢がうれしい」と、地元チームならではの魅力を教えてくれた。

試合終了後、熱い声援を送ったサポーターに感謝を伝える選手たち=2021年、松江市営陸上競技場

 シーズン開幕を前に金築さんは「一つでも順位を上げて、願わくは、勢いがあるうちにJリーグに上がってほしい」と期待する。

 元サッカー日本代表の三浦知良選手がJFLの鈴鹿ポイントゲッターズ(三重)に加入した。3人は「楽しみ」と口をそろえる。金築さんは「島根のサッカーチームは知らないけどカズは知っている、という人も多いと思う。島根で対戦することになれば、多くの人が会場に足を運んでくれそうだし、鈴鹿に勝てばさらに注目度が高まりそう」と、カズ効果での盛り上がりに期待した。

昨年は過去最高の5位でシーズンを終え、今季も活躍が期待される


 新しいチーム名で臨む今シーズンは、三浦選手のいる鈴鹿との対決など、上位進出を懸けた熱い展開になりそう。落ち着いた語り口の中に、今シーズンにかける情熱を秘めた3人の様子に、シーズン開幕が待ち遠しくなった。

 応援団は会員登録の必要はなく、試合会場で掛け声を書いた紙を配り、自由に応援に参加してもらう。問い合わせは試合会場またはツイッター(@kgsmn_goal_ura)で受け付ける。