松江市内最大級の戦争遺跡で、2021年に埋め戻された松江城山公園(松江市殿町)の防空壕(ごう)跡について、市が記録した3次元データを、市民に公開する。データは松江市と、同年春に市と研究連携協力協定を結んだ、同志社大文化遺産情報科学調査研究センター(京都府京田辺市)が共同で調査し、早ければ新年度にも公開する。
(広木優弥)
タブレット端末に搭載される赤外線のレーザー光を利用し、物体との距離を測る仕組みを用いた。埋め戻し工事中の21年5月に市職員が現地に入り、半日ほどかけ内部形状の記録と画像撮影を行った。
測定により360度、どの視点からも全体像を捉えられるようになった。加えて、VR対応のゴーグルなど専用の機材を使用することで、中を歩いて探索する気分を体験できる。他の地域の防空壕との比較といった、研究にも活用できる。
市埋蔵文化財調査室の徳永隆主任(47)は「既に実物が見られない遺跡を、3次元測量で呼び戻せた。方法などは未定だが、市民の皆さんに見てもらえるよう活用したい」と話している。
防空壕は終戦間際の1945年3月、島根県が職員退避用として造ったとされる。終戦直後、ポツダム宣言受諾に抗議した若者らが島根県庁などに放火した松江騒擾(そうじょう)事件では、県庁にあった昭和天皇の写真が防空壕内部に移された。
入り口が2カ所あり、内部は全長53メートル、高さ2メートルで広さは約180平方メートル。実地調査で内部に落石があることが分かり、崩落で松江城の石垣や、防空壕の直上にある興雲閣への影響も考えられるため、埋め戻された。
12日午後2時から松江市殿町のTONOMACHI63で、これまでの調査研究成果を報告し、3次元データの一部を上映する。













