若槻礼次郎と嫁ケ島のつながりを伝える資料=松江市殿町、松江歴史館
若槻礼次郎と嫁ケ島のつながりを伝える資料=松江市殿町、松江歴史館

 大正末期に首相に就いた松江市出身の政治家・若槻礼次郎(1866~1949年)と、宍道湖の嫁ケ島に植わるマツとの関わりをひもとく展示「登録記念物 嫁ケ島―若槻礼次郎が愛した島」が、松江市殿町の松江歴史館で開かれている。初展示の色紙から古里への若槻の思い入れが伝わる。5月30日まで。

 現在、27本のクロマツが植わる嫁ケ島が国の登録記念物に指定されたことなどを記念して企画。嫁ケ島を詠んだ若槻の漢詩を記した色紙と写真アルバムを展示した。

 嫁ケ島には、昭和初期までマツは数本しかなかったが、1935年に帰郷した若槻が植樹を勧め、名勝地としての名を高めた。

 色紙の漢詩は、若槻のゆかりの料亭「魚一」の主人・吉村よしのが記した。裏には「嫁ケ島にはむこがいない」との若槻の言葉を聞いたよしのの父・一(はじめ)が、36年に島根半島のマツ70本を植えた記録がある。

 同館の新庄正典主任学芸員(44)は「植樹を勧めた礼次郎の思いを知ってほしい」と語った。

 午前9時~午後5時。大人510円。毎週月曜日と5月6日は休館。(小引久実)