石見神楽面をテーマにした写真が日本海信用金庫(浜田市殿町)の1階ロビーで展示されている。浜田市出身のフォトグラファー河野英喜さん(53)=東京都在住=が撮影する、神楽面作家の真剣な表情や筆を持つ指先の緊張感が伝わる写真が並ぶ。5月27日まで。
河野さんは東京を拠点に有名俳優の写真撮影を多く担うなど活躍する。
小学生時代、面作家の長男で、河野さんの幼なじみだった柿田兼志さん(52)の父親の工房(同市熱田町)に足しげく通った。手がける面の種によって作家自身の表情が変わることに注目。鬼の面は険しく、神の面は凜(りん)とし、姫の面は優しく、鏡のように変化する職人の内面世界に魅了されたという。
こうした感動を形に残そうと、2017年秋、工房の2代目となった柿田さんの1週間に密着。現場の空気感を引き出すために自然光かつ、面の立体感や質感が伝わるよう光と影の角度を意識しながらシャッターを切った。
展示する写真は10枚。黒を背景に赤鬼が浮かび上がる作品や、面の粘土をひたむきにたたく柿田さんの写真などが目を引く。会場では面の制作工程なども紹介している。
被写体となった柿田さんは「プロに撮ってもらい、仕事がかっこよく見える」と喜んだ。河野さんは「神楽面の制作工程など、まだ目にしたことがない人にも見てもらいたい」と話した。
(青山和佳乃)