田んぼの斜面に敷き詰められた芝桜を見つめる広石地区環境保全組合のメンバー=島根県吉賀町広石
田んぼの斜面に敷き詰められた芝桜を見つめる広石地区環境保全組合のメンバー=島根県吉賀町広石

 島根県吉賀町広石地区の水田斜面に植わった芝桜が見頃となっている。地元住民グループが、雑草の繁茂を防ぎ、農地を保全するため2017年から毎年植えており現在、千平方メートルに4千株が並ぶ。ピンクや白など色とりどりの花は農地に彩りを添え、住民の目を楽しませている。見頃は20日ごろまで。

 田んぼの草刈りや溝掃除といった環境整備に取り組む広石地区環境保全組合(近藤彰彦会長)のメンバーが、地区住民の高齢化で課題となっている農地維持の方策として考案した。

 農地維持の取り組みを支援する国の交付金を活用。田んぼの斜面に敷き詰めた防草シートに穴を開け、町内で集めた芝桜の苗を毎年11月に植える。育って花が咲いたときを考慮し、苗は30~40センチの等間隔に植え、成長するまでは、穴の隙間から雑草の手入れを念入りに行う。

 最初はメンバー全員が植樹経験がなく、試行錯誤した。それでも、芝桜の植樹で雑草の生える量は大幅に減り、草刈りに費やす労力の負担軽減につながった。

 近藤会長(74)は「想像以上に大変だったが、住民からきれいになったねと言われた時はうれしかった。『芝桜の広石』と呼ばれるよう、活動を続けていきたい」と意気込む。

      (石倉俊直)