1時間半近く並んで見ることができた上野動物園のジャイアントパンダ「レイレイ」=22日午前、東京都台東区
1時間半近く並んで見ることができた上野動物園のジャイアントパンダ「レイレイ」=22日午前、東京都台東区

 熱烈な人気に舌を巻いた。先週末、東京出張に合わせて上野動物園に足を運んだ。お目当ては双子のジャイアントパンダ。半年前にも訪ねたが、1時間近く並んだ挙げ句、次の予定時刻が迫り、泣く泣く長蛇の列から離れていた。

 開園時間に到着した前回の反省を踏まえ、1時間前に現地に着いたものの、パンダ舎に近い入場口は既に200人近い行列。みるみるうちに人波はその2倍を超えていた。

 好天に恵まれた3連休の初日。だが過熱気味な人だかりの理由はそれだけではない。今年6月、和歌山県白浜町のレジャー施設で飼育されていた4頭のパンダ全てが、貸与契約の満了で中国へ返還され、国内で飼育されるパンダは4年前に生まれた上野動物園の双子のみになった。その2頭の返還期限も来年2月20日に迫っている。

 その上、台湾有事を巡る高市早苗首相の発言をきっかけに、中国側が日本への渡航自粛を呼びかけるなど日中関係は一気に悪化。現状では新たなパンダの貸与はとても望めそうになく、「日本からパンダがいなくなる日」は近づいている。

 「パンダを見るのも、これで最後かもしれないね」-。ようやく入園してパンダ舎の前で並んでいると、隣にいた女性が3、4歳くらいの息子にそう話しかけた。すると、楽しそうだった男の子が「どうして?」と表情を曇らせた。やっとパンダは拝めたものの、少し切ない気持ちになった。(健)