キクイモを使ったブレンド茶を考案した池田理葵さん(右)と大庭勇さん=島根県津和野町直地、秀翠園
キクイモを使ったブレンド茶を考案した池田理葵さん(右)と大庭勇さん=島根県津和野町直地、秀翠園

 自然に引かれ神奈川から島根県立津和野高校に入った池田理葵(りき)さん(18)=3年=が、津和野町でほそぼそと栽培されるキクイモと地元名物の健康茶「まめ茶」を合わせたブレンド茶を考案した。キクイモ農家の「売れない」との声がきっかけで試行錯誤した。製茶業者の協力で商品化にこぎ着け「多くの人に愛される商品になってほしい」と願う。(石倉俊直)

 池田さんは神奈川県大磯町出身。幼いころから自然が好きで、東京で島根県の高校説明会に参加し、のどかな風景が広がる津和野の土地柄に魅力を感じ、2018年春に同校に進んだ。

 高校1年の時、町内の道の駅で開かれた竹細工講習会で、キクイモを栽培する農家・大庭勇さん(92)=津和野町相撲ケ原=と出会った。「これ食べてみんさい」と、弁当箱から差し出された干しキクイモのきんぴらのおいしさに感動した。「多くの人に食べてほしいが、売れないので困っている」との言葉とともに頭に残ったという。

 その後、半年の海外留学を経て津和野に戻り、まめ茶を手掛ける製茶業・秀翠園(津和野町直地)にキクイモの活用を打診。同社とともに20年8月からブレンド茶開発に取り組んだ。

 3月に発売した「菊芋ブレンド茶」は、まめ茶とほうじ茶、乾燥させて刻んだキクイモをブレンドした。キクイモの甘みとまめ茶の香り、ほうじ茶の後味が効いた味わい。血糖値を抑える効果があるとされるキクイモの成分や風味を生かしながら、飲みやすく仕上がるよう、配合比率や乾燥方法、刻み方を何度もやり直したという。

 大庭さんは「素晴らしい商品を作ってくれて、とてもうれしい」と喜ぶ。

 池田さんは「津和野の豊かな自然が生んだ菊芋ブレンド茶で多くの人とつながっていきたい」と話し、今後はブレンド茶のPRに尽力するつもりだ。

 菊芋ブレンド茶は648円。秀翠園や道の駅・津和野温泉なごみの里(同町鷲原)で扱っている。