記者会見で謝罪する島根大学医学部の鬼形和道医学部長(左)ら=出雲市塩冶町、島根大医学部
記者会見で謝罪する島根大学医学部の鬼形和道医学部長(左)ら=出雲市塩冶町、島根大医学部

 島根大医学部(出雲市塩冶町)が27日、医学部の解剖学実習の献体50体に、保存に必要な防腐処置を行わないなど不適切な対応をしていたと発表した。遺体の引き取りから保存までの体制を含め管理が不十分だったとみられ、身体の一部しか実習に使えない献体も出ている。学部内の対策本部と、弁護士ら外部有識者でつくる調査委員会が調査し、5月中に原因と再発防止策をまとめる。

 対策本部長の鬼形和道医学部長らが島根大医学部で会見し、明らかにした。

 同学部によると、3月10日、解剖学実習の担当教員が、通常は冷蔵室や保存室に保管されるはずの献体7体が実習室にあるのを発見。管理状況を不審に思ったのを機に内部調査を実施した。

 同月17日までに献体の状況を確認したところ、計112体のうち2017~21年度に引き受けた50体について、遺体引き取り後に必要なホルマリンの注入などがされていなかった。50体の一部に、全身解剖ができない状態のものもあった。

 さらに、通常は献体引き受け日に付ける個人識別番号を、全献体のうち34体に付けていなかったことも分かった。

 医学部の献体管理は、引き受けから保存までの作業を常勤職員1人が担当し、別の管理監督者も1人いた。職員は現在、病気療養で休職中のため、本人への聞き取りはできていないという。

 鬼形医学部長は「教育や研究のために自らをささげた方々や遺族に対して申し訳ない。心からおわび申し上げる」と陳謝。今後、作業人員や管理監督の体制を見直し、再発防止に努めるとした。

 遺族には25日付で事案の説明と謝罪の文書を送付。5月31日まで専用の電話窓口を設け、遺族の不明点に対応する。対応時間は午前10時~午後7時で、電話0570(78)3513。

 (平井優香)