富良野自然塾サテライト校を開設予定の奥大山スキー場で、構想を説明する光島宏美さん=鳥取県江府町御机
富良野自然塾サテライト校を開設予定の奥大山スキー場で、構想を説明する光島宏美さん=鳥取県江府町御机

 青年海外協力隊員だった作業療法士の光島(こうしま)宏美さん(44)が今春、鳥取県江府町のSDGs(持続可能な開発目標)を推進するプロジェクトマネジャーに起用され、活動を始めた。採用を機に岡山県新庄村から移住。「経験を役立てたい」と意欲を燃やす。 (山根行雄)

 出身地の岡山市にある老人保健施設で作業療法に従事した後、2007年から2年間、青年海外協力隊員としてマレーシアに滞在。熱帯雨林地帯に住む住民の地域リハビリに携わった。

 大規模災害や内戦の避難民支援を行うNPO法人AMDA(アムダ、岡山市)にも参画し、巨大地震が頻発したインドネシアのスマトラ島では医療調整員を体験。この10年間は新庄村の社会福祉協議会で医療・福祉政策の一端を担った。

 鳥取県内の協力隊員ネットワークで知った江府町のプロジェクトマネジャーに応募。豊富な経験を買われて3年限定の町教育委員会職員となった。

 マレーシア人の夫ら一家4人で移住し、踏み出した新たな一歩。4月半ばには早速、NPO法人富良野自然塾(北海道富良野市)の林原博光副塾長を招き、町役場で開かれた会合の調整役になった。

 町は来春、休止中の町営奥大山スキー場に自然塾のサテライト校を開設。脚本家の倉本聰さんが監修した体験型環境教育プログラム「地球の道」を提供する計画で、関係団体との入念なすり合わせが欠かせない。

 「ジャングルガイドだった夫や、子どもと一緒に、自然環境との共生を追い求めたい」。全ての国、人々を取り残さないとうたうSDGsの理念を胸に刻む。