仕上げ磨きの様子。ほっぺを内側から広げて磨きにくい部分もしっかりきれいにしよう(多田宏さん提供)
仕上げ磨きの様子。ほっぺを内側から広げて磨きにくい部分もしっかりきれいにしよう(多田宏さん提供)
仕上げ磨きの様子。ほっぺを内側から広げて磨きにくい部分もしっかりきれいにしよう(多田宏さん提供)

 小学校入学を機に歯の仕上げ磨きをやめ、子どもに任せるという家庭も多いだろう。しかし新入学の時期は「6歳臼歯」と呼ばれる初めての永久歯が生えてくるタイミングと重なる。一番奥にあって汚れがつきやすい上、磨きにくいので、虫歯になりやすい。歯科医師は、入学後も仕上げ磨きを続けて、子どもの口内環境を毎日チェックするよう呼び掛けている。(増田枝里子)

 「6歳臼歯」と呼ばれるのは、永久歯の中で一番大きく、かむ力も強い「第一大臼歯」のこと。歯並びやかみ合わせの基本にもなる。乳歯と間違えやすいがこれは永久歯。完全に生えきるには1年~1年4カ月かかる。隣の乳歯と段差ができ、歯ブラシが届きにくく磨くのが難しい。溝も深いので、プラーク(細菌の集まり)がたまりやすい。大人が口を広げてあげて、歯ブラシを横から入れて磨こう。

 生えたことも気付きにくい分、毎日の仕上げ磨きでのチェックが大事になる。毎日することで口内の変化にも気付きやすい。まず自分で磨かせてから、大人が6歳臼歯を中心に磨きにくい部分を磨く。フロスも忘れずに使う。

 ホームケアでもフッ素は欠かさない方がいい。フッ化物溶液での洗口は、歯ブラシだけでは届かない汚れに効果的だ。フッ化物入りの歯磨き剤を使うのも手。歯科でフッ素塗布をする人もいるが、家庭で毎日フッ素に触れることが重要だ。

 新型コロナウイルスの影響で、乳幼児健診時のブラッシング実技指導を取りやめたり、自宅で過ごす時間が多く「だらだら食べ」の機会が増え、口内環境が悪化していたりと、心配な条件がそろう。ブラッシング指導を受けるつもりで歯科を受診し、口内環境のチェックを定期的に行うと安心だ。中には学校の歯科検診では見つけられない、顕微鏡やエックス線検査で見つかる虫歯もあるという。

 島根県歯科医師会学校歯科部の多田宏さん(56)は「15歳までの口内環境がその後の人生を決める。新生活が始まる春、かかりつけ歯科をつくって、定期的にプロに相談してほしい」と呼び掛ける。

 保護者が一緒に歯磨きをする時間をつくるなど、歯を守る姿勢を子どもに日常的に伝えることも大事だ。同じく県歯科医師会の鐘築剛さん(56)は「小さい時に大人がしっかり子どもの歯を管理する姿を見せていれば、成長とともに自分の歯は自分で守ろうという意識が育つ」と強調した。