第一章 発端の夏(二十六)

「確かにここの蚊は血に飢えてそうだね」

 秋山が腰に蚊取り線香の携帯容器をぶら下げ、改めて雑草の生い茂る墓地を見渡した。

 本来なら寺の墓地は寺の人...