■煙でよみがえる昔 ある週末の夕刻。山あいを散策中に懐しいにおいをかいだ。見上げると民家の煙突から煙がたなびいている。ああ、風呂たきの煙か。幼いころの追憶が一気に胸を満たす。生家もまきで風呂を沸かしていた。長じてからは、私も手伝うようになった。どうしたらうまく火がつくか、それが長持ちするか、工夫することが楽しかった。思えば暮らしそのものが生きた学びの場だった。今、たき火が人をつなぐコミュニケーションツールとしても注目されている。確かに、乾いた心を...