人通りの少ない平日の松江天神町商店街=松江市天神町
人通りの少ない平日の松江天神町商店街=松江市天神町

 JR松江駅(松江市朝日町)から徒歩10分の松江天神町商店街(同市天神町)。かつては年間30万人以上の患者が利用する市立病院が近くに立地し、1990年代後半には約50店舗がひしめいた。

 2005年に病院が他地区へ移転し、人通りが大幅に減った。営業を続ける約30店舗のうち、半数は後継者のめどが立っていない。同商店街の中村寿男理事長(67)は「これまでの商店街の在り方は限界にきている」と実感する。

◇  ◇  ◇

 市内で中心市街地とされる地域は、JR松江駅前から島根県庁などがある殿町周辺を含め、城北、城東、城西、白潟、朝日、雑賀の計6地区にまたがる。松江天神町商店街も入る。

 同地域では1997年度以降の17年間で小売事業所が582カ所から283カ所に減り、545億5500万円あった年間販売額も221億7千万円に落ち込む。商店街の衰退と比例するように、地域内の人口は20年間で20%減った。

 客が減ったことで店舗をつぶして駐車場に変える動きも目立つ。

 県庁に近い南殿町・母衣町エリアでは核施設だった一畑百貨店が98年に移転して以降、空洞化が進み、2017年の駐車場面積は05年の1・5倍に拡大。甲子園球場を上回る4・1ヘクタールにまで広がった。

 市は旧一畑百貨店本館周辺の再開発を掲げ、10年度から商業施設の誘致や駐車場の再配置、路線バスターミナル機能の向上などを軸に検討を進めるものの、10年以上が経過した今なお、大きな変化は見られない。

 松浦正敬市長は昨年の2月市議会で、思うように進展していない現状を認めた上で「地区としてのコンセプトを定めながら進めていく必要がある」と述べるにとどめた。市の方針への理解が深まらず、地域を巻き込んだ活性化への道筋が付け切れていない状況だ。

◇  ◇  ◇

 旧態依然とした商店街からの脱皮を図ろうと、松江天神町商店街は模索を続ける。

 昨年11月、竪町商店会、松江駅本通商店会と連携して、商店街やイオン松江ショッピングセンター(同市東朝日町)を結ぶ三輪自動車「トゥクトゥク」の無料運行など、若手店主の新しい発想を生かした取り組みを実施した。中村理事長は市に対しても、従来の枠組みを超えた支援を求める。

 歴史ある商店街が形作ってきた中心市街地の空洞化が進めば、市全体の活力低下につながりかねない。街の魅力を再び引き出す柔軟な発想とビジョンが市になければ、地域との二人三脚もままならない。